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眼瞼下垂の手術を受ける(1) 理由

見えにくくなったから。

介護から開放されて、自分のことを考えられるようになったから。

療養休暇もらって、面倒くさい同僚から距離を置きたかったから。

 

 

もともとは一重だったのが、高校生の頃、ハードコンタクトレンズに変えた日からぱっちり二重になって、なんでかなあと思いつつ今まで生きていた。

ソフトレンズでは矯正できないほど乱視ががんがん進んでしまった結果のハードレンズだったが、一番カーブのきついレンズでもフィットしないくらいだったから、今から思えば円錐角膜なんじゃないかと思うけれども、まあそれはそれとして、まぶたがレンズに引っかかるから、二重になったんだなと理解したのは、それから何十年も経って、右目の上まぶたが瞳に少しかかるようになってからだった。

田舎の眼科では、円錐角膜も眼瞼下垂も、それと診断したところでどうともできないせいか、そうですねえで終わってしまう。困ったものだ。

学童保育のガキンチョからは、容赦なくガチャピン先生とよばれ、眼科で検査をするときに看護士さんがつっと手を伸ばして私のまぶたを持ち上げるようになり、いつの間にか右目を閉じていることが増えて、夕方の運転で複視が出はじめてから、やっとこさ私は重い腰を上げて眼瞼下垂手術を受けることにした。

 

同居の要介護4の義母が夏の初めに老健に入所して、思いがけず自分の時間ができたというのもある。職場では、春からやってきたちょっと面倒くさい再雇用者が空回りしては客の信用を失うというのを繰り返していて、尻拭いに飽き飽きしていたというのもある。

術後ハードレンズが使えない間は、運転ができないから必然的に一週間、両目でニ週間の療養休暇がとれる。ちょうどいい按配だ。

 

白内障手術をしてコンタクトレンズからおさらばしてからうけるつもりだった眼瞼下垂手術を前倒しにしたのは、つまりそんな理由である。